わたしたちはなぜこのイベントを行うのか?

「環境に適応することにエネルギーや時間を費やす自分」から

「環境を調整することにより本来の力を発揮出来る自分」へ。

日本手話を第一言語とするろう者と、音声や日本語対応手話を使う難聴者の間には、コミュニケーション手段の違いから生まれる、見えない壁が存在しています。さらに盲ろう者にとっては、活動できる場そのものが限られているのが現実です。

そして、聴者中心の社会に身を置くろう者·難聴者、盲ろう者の多くが、会議や意思決定の場で情報から取り残され、能力以前の段階で壁に直面しています。

背景には、ろう教育·聴覚障害児教育が「どれだけ発声できるか」「どれだけ聴者社会に適応できるか」を重視してきた構造があります。本来強みとなり得る視覚言語や認知特性、すなわちデフゲインの価値が、十分に社会へ接続されてきたとは言い難いのではないでしょうか。

その結果、企業や組織における登用や活躍は伸び悩み、幹部層にろう·難聴の当事者が極めて少ない状況が続いています。ロールモデルが見えにくいため、次の世代の育成も進みにくく、負のスパイラルは静かに固定化されつつあります。

このままでよいのだろうか。どうすれば、この閉塞した負のスパイラルを断ち切れるのか。

そうした問いと模索の中で、同じ課題意識を持つ仲間が集結し、「Deaf Catalyst(DCAT)」が立ち上がりました。

個人の努力に委ねる「個人/医学モデル」から、環境と構造そのものを見直す「社会モデル」へ。

――その第一歩を、共に踏み出すきっかけにしたいと思います。